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京都家庭裁判所 平成元年(家)634号 審判

主文

1  被相続人らの別紙遺産目録記載の遺産を次のとおり分割する。

(1)  別紙遺産目録(編略)1の(1)、(2)記載の不動産は申立人池田正之の取得とする。

(2)  別紙遺産目録2の(1)、(2)記載の不動産は相手方池田周作の取得とする。

2  別紙遺産目録2の(3)記載の貸付信託および金銭信託金395万3683円は、相手方藤井克子および相手方福本智子が各金197万6841円宛折半して分割取得とする。

3  別紙遺産目録2の(4)記載のダイヤ1個は相手方藤井克子の取得とする。

4  別紙遺産目録2の(5)記載の預金9万3072円は相手方福本智子の取得とする。

5  申立人池田正之は、上記遺産取得の代償として、

相手方池田周作に対し、金743万4375円およびこれに対する本審判確定の日から完済まで民事法定利率年5分の割合による金員を、

相手方藤井克子に対し、金4702万3533円およびこれに対する本審判確定の日から完済まで民事法定利率年5分の割合による金員を、

相手方福本智子に対し、金4793万0461円およびこれに対する本審判確定の日から完済まで民事法定利率年5分の割合による金員を、

相手方池田哲也に対し、金4242万0375円およびこれに対する本審判確定の日から完済まで民事法定利率年5分の割合による金員をそれぞれ支払え。

6  別紙遺産目録1の(3)記載の○○染工有限会社の出資5000口は、申立人および相手方ら1人1000口宛の分割取得とする。

7  本件手続費用中、鑑定費用金37万0800円は、申立人池田正之が金30万0800円を、相手方池田周作が金7万円を負担することとし、相手方池田周作は申立人に対し金7万円を支払え。その余の手続費用は各自弁とする。

理由

1  申立の要旨

被相続人らの別紙遺産目録1、2記載の遺産につき、相手方との間において分割の協議を試みたが協議が整わないので、遺産の分割を求める。

2  当裁判所の判断

本件記録および家庭裁判所調査官○○作成の調査報告書によれば、次の事実が認められる。

(1)  相続の開始、相続人および法定相続分

被相続人池田忠和は、昭和43年5月31日死亡し、その相続人および相続分は、妻亡池田タエ3分の1、申立人長男池田正之3分の2の5分の1で15分の2、相手方二男池田周作も15分の2、相手方二女藤井克子も15分の2、相手方三女福本智子も15分の2、相手方三男池田哲也も15分の2である。

被相続人の長女池田節子(昭和4年2月26日生)は、幼時(昭和6年2月20日)死亡した。

被相続人の妻亡池田タエは、昭和52年5月28日死亡し、その相続人および相続分は、被相続人池田忠和の遺産に対する相続分3分の1につき、申立人長男池田正之の5分の1、相手方二男池田周作5分の1、相手方二女藤井克子5分の1、相手方三女福本智子5分の1、相手方三男池田哲也5分の1であって、上記被相続人亡池田忠和の遺産に対する相続分をそれぞれ合計すると、申立人池田正之は5分の1、相手方池田周作は5分の1、相手方藤井克子は5分の1、相手方福本智子は5分の1、相手方池田哲也は5分の1である。そして、被相続人亡池田タエの遺産に対する相続人および相続分もこれと同じ各5分の1である。

(2)  遺産の範囲および評価

被相続人亡池田忠和の遺産の範囲は別紙遺産目録1の(1)ないし(3)記載のとおりであり、被相続人亡池田タエの遺産の範囲は別紙遺産目録2の(1)ないし(5)記載のとおりである。

但し、被相続人池田タエ名義で京都市下京区○○町××番の×に宅地47.40平方メートルが存在するが、同土地の登記簿には、権利者高田令子の所有権移転請求権仮登記があり、現在同人から、京都地方裁判所に対し、本件申立人および相手方らを被告として、同土地の所有権移転登記手続請求訴訟〔平成元年(ワ)第1313号土地所有権移転登記手続請求事件)が提起され、平成元年9月1日の和解期日に、被告のうち申立人を除く相手方ら全員との間で、被告である相手方らは原告に対し、昭和49年11月8日付け売買を原因とする所有権移転登記手続をする旨の和解が成立し、京都地方裁判所は、平成2年5月7日、被告に対し、同訴訟事件につき、申立人である被告に対し、上記登記原因による所有権移転登記手続きを命ずる被告敗訴の判決を言い渡した。これらの事実からすれば、この土地を被相続人亡池田タエの遺産とは認められない。

この不動産の評価は、鑑定人○○作成の鑑定書によれば、平成元年4月10日現在、別紙遺産目録1の(1)記載の土地は金1億2148万1000円、同(2)記載の建物は金1015万8000円、同2の(1)記載の土地の借家権控除後の価格は金2162万5000円、同(2)記載の建物は金969万6000円で、この合計は、金1億6296万0000円である。そして、この鑑定時である平成元年4月10日から本年5月10日まで1年1か月が経過しており、この間に、本件遺産中の土地の価格は、近接する京都市中京区△△町××番×外の地価の上昇と同じく上昇したものと認められるので、この地価の上昇を見るに、同土地の平成元年1月1日時点での公示価格は1平方メートル当たり金72万円のところ平成2年1月1日時点での公示価格は1平方メートル当たり金102万円であって、1年間に1.41倍(102÷72 = 1.41)もの上昇をしており、1か月の上昇率は0.11倍(1.41÷12 = 0.11)となる。従って、1年1か月の上昇率は1.52倍(1.41+0.11 = 1.52)となる。そうすると、平成2年5月10日現在の、同1の(1)記載の土地の価格は金1億8465万1120円(121,481,000円×1.52 = 184,651,120円)となり、同様に同2の(1)記載の土地の平成2年5月10日現在の価格は金3287万0000円(21625000円×1.52 = 32870000円)となる。

この同1の(1)記載の土地の価格金1億8465万1120円、同1の(2)記載の建物の価格金1015万8000円、同2の(1)の土地の価格金3287万円、同2の(2)の建物の価格金969万6000円を合計すると、金2億3737万5120円となる。

この不動産の価格に、別紙遺産目録2の(3)記載の○○信託銀行の貸付信託と金銭信託金395万3683円、同2の(4)記載のダイヤ1個(1.25カラット)金100万円および同2の(5)記載の預金9万3072円を加算すると、合計金2億4242万1875円となる。

遺産には、上記した不動産、貸付信託と金銭信託、ダイヤおよび預金の他に、同1の(3)記載の○○染工有限会社の出資5000口がある。会社の資産および負債は不明である。申立人の供述によれば、積極財産よりも消極財産のほうが、多額と推認できる。

(3)  特別受益

相手方池田哲也は、家業を手伝うこと無く、被相続人亡池田忠和に4年制大学である○○大学を卒業させてもらった。その間の学費が幾らを要したかは不明である。昭和61年の文部省の学生生活費報告によれば、私立大学に下宿して通学すると、年間金189万5000円を要する。4年間の合計は金758万円となる。そして、他の相続人が、中学校在学中から家業を引き続き手伝った事情からすれば、相手方の特別受益は、金758万円と認めるのが相当である。

申立人、相手方池田周作および相手方池田哲也らは、婚姻時、被相続人らに、挙式費用や、婚姻の為の荷物としての着物等を調えて貰い、また、相手方藤井克子および相手方福本智子は、それぞれ婚姻時に、被相続人らより嫁入道具等の支度を調えてもらっているが、現在、これらに要した費用の額は不明であり、また、これらの支度は、通常の婚姻の支度の程度を越えたものでは無いと認められるので、これらの費用を、同人らの特別受益とは認められない。

(4)  寄与分

相手方池田周作は、昭和22~3年頃から同50年頃迄、家業を手伝い、その対価は小遣い程度しか貰っていないと述べ、相手方藤井克子も、中学校在学頃から昭和40年に30歳で結婚する迄、家業を手伝い、会計の仕事の他、被相続人亡池田タエに代り家事も手伝い、申立人や相手方池田周作が家業を手伝って月給を貰っていたのにもかかわらずその対価として小遣い程度しか貰っていないと述べているが、同人らは、無報酬で家業に貢献したのであればともかく、額の多寡はあっても、被相続人の経営する家業である染工業を手伝い、被相続人と協議のうえその額を定めて収入を得ていたものであって、家業に貢献したことに対しては対価を得ていたものであるから、これらの貢献を寄与分とは認められない。結局、相続人らには、寄与分は無いこととなる。

(5)  みなし相続財産

上記の本件遺産の総額金2億4242万1875円に池田哲也の特別受益金758万円を加算すると金2億5000万1875円となり、これと、○○染工有限会社の出資5000口が相続財産とみなされる。

(6)  相続人各自の生活状況、遺産分割に関する意見等

(イ)  申立人は、個人で染色の生地の販売業に従事し、家族は、妻悦子(昭和9年生)、長女典子(昭和33年生、パート勤務)および次男純次(昭和40年生)との4人暮らしである。

申立人は、被相続人亡池田忠和が、昭和17年頃から着手し、同20年9月から正式に始めた染色業を手伝い、○○大学二部文学部(古典科)を卒業し、同25年に、同被相続人が○○染工有限会社を設立してその代表取締役となった際、申立人は、同社の専務取締役となった。そして、被相続人亡池田忠和死亡後、家業を引継ぎ、会社の経営に従事したが、経営不振の為、会社名義の不動産を処分して会社の負債の弁済に充当したが、昭和46年頃からは、税務署に会社の廃業届けを出し、以後は、申立人個人としての販売業に従事している。

申立人と相手方らは、約2年前、遺産分割の協議をしたが、協議が調わず、その時以後、本件遺産目録2の(3)記載の貸付信託および金銭信託は相手方藤井克子および相手方福本智子が折半して保管中であり、同2の(4)記載のダイヤは、相手方藤井克子が、同2の(5)の預金は、相手方福本智子がそれぞれ保管中である。

申立人は、「昭和43年に、被相続人亡池田忠和の仕事を手伝っていた相手方池田周作が従業員を連れて他の工場に移り、申立人は、同被相続人死亡後、会社の経営を引継ぎ、母である被相続人亡池田タエと2人が会社の代表者になったが、昭和44~5年に同被相続人は、会社の第3工場(京都市中京区△○町××番地所在)の土地30坪のうち約16坪を売却し、残りの土地は、同48年頃、申立人が、不渡手形を掴まされた際に売却し、同年頃、同被相続人が会社の第2工場(京都市中京区○○町所在)の土地147坪のうち約50坪を売却し、代金1700万円を持って相手方池田哲也の許に行った。申立人は、その残りの土地のうち約43坪を金1939万5000円で売却し、更に、残りの土地を同49年11月に金2400万円で売却し、いずれも売掛金の回収不能金、商品代金の値引き、借入金の弁済に充当した。同50年来には、不渡り手形を掴まされたので、申立人の現住所の隣にあった申立人名義の家を売却して、その弁済に充当した。被相続人亡池田忠和は、○○染工有限会社の出資5000口全額を出資していたが、その名義は、同被相続人名義に3500口、他を3人の他人名義としていた。同被相続人死亡後、申立人は、相続人である相手方らや母である被相続人亡池田タエにはなんの協議もせず、無断で、3人の他人名義の出資を申立人名義とし、被相続人亡池田忠和名義のものは、被相続人亡池田タエ名義、申立人名義、相手方池田周作名義および相手方池田哲也名義にした。申立人は、昭和46年に、中京税務署に対し、同会社の廃業届けを出し、以後、申立人が、個人的に仕事を続け、被相続人亡池田忠和の死亡時にあった会社の債務金3500万円の弁済に努め、現在では、この債務も約金800万円に減少した。申立人としては、この残債務も引続き弁済を続ける予定である。尚、同2の(4)記載のダイヤは、金100万円で買ったもので、現在の価格は約金150万円である。」と述べ、本件遺産分割については、不動産の処分を命ぜられれば、それも致し方ないとも思うが、転居も考えられないので、申立人の現住所の土地建物は残して欲しいと希望している。

(ロ)  相手方池田周作は、染工業に勤務し、家族は、妻孝子(昭和10年生、無職)、長男潤一(昭和37年生、信用金庫社員)および長女美奈(昭和40年生、事務員)の4人暮らしである。

相手方池田周作は、旧制○○中学2年中退後、家業を手伝い、被相続人亡池田忠和死亡後は、申立人、被相続人亡池田タエとともに、3人で家業の染色業である○○染工有限会社を継ぎ、会社の経営や会計には関与せず、現場の仕事に従事し、会社の京都市中京区○○町××の土地建物に母である被相続人亡池田タエと共に住んだ。昭和46年頃、母の希望で、相手方が、他からの下請けの仕事を始めて半年を経過した頃、申立人が、酒を飲んで相手方宅に暴れ込んで来て、生地に染料をぶちまけ、住居も工場も目茶苦茶にしたので、相手方は、家に引き続き居住することが出来ず、結局、申立人に家を追い出され、以後、他の工場に勤め、借家住まいとなり、相手方と同居していた母も、同様に追い出され、相手方ら娘や三男の許を転々とし、相手方福本智子の許で死亡した。

相手方は、本件遺産分割については、別紙遺産目録2の(1)、(2)記載の不動産(賃貸中)を単独で分割取得したいと希望している。そして、相手方を追い出した申立人に対し、相手方夫婦共々現在も悔しい思いを持ち、会社の資産、負債を明確にすることを強く望んでいる。そして、申立人が居住している家と土地は申立人が、京都市中京区○○町の土地は相手方池田哲也がそれぞれ取得し、貸付信託と金銭信託は相手方藤井克子と相手方福本智子が折半し、ダイヤは相手方藤井克子が、預金は相手方福本智子がそれぞれ取得する遺産分割を希望している。なお、相手方は、ダイヤの価格は約金100万円と述べている。

(ハ)  相手方藤井克子は、夫正己(59歳)と共に、糸の加工業を自営し、家族は、姑(78歳)、長男(23歳、自動車部品販売会社員)および長女佳子(17歳、高校生)の5人暮らしである。

相手方は、中学校に通学しながら、家業の手伝いをし、昭和30年に婚姻するまで家業を手伝い、会計を担当してきた。給料としては、申立人や相手方池田周作は、月給制であったが、小遣い程度しか貰わなかった。

相手方は、「被相続人亡池田忠和は、染色業を家業とし、○○染工有限会社を申立人と相手方池田周作と3人で経営していた。京都市中京区○△町に工場と家があり、他に、同区○○町××にも150坪の土地に工場と家があり、ここには、相手方池田周作が居住していたところ、申立人が、酒を飲んで相手方池田周作の家に暴れこみ、家や工場のガラスを割り、染料をぶち撒け、家と工場を目茶苦茶にしたので、相手方池田周作は家を出たところ、申立人は、その間に、この会社名義であった○○町××の土地と建物を全部売却してしまった。被相続人亡池田タエは、相手方池田周作と共にこの家から立ち退き、以後、相手方らの家を転々としたが、最後は、相手方福本智子の許で死亡した。」旨述べ、本件遺産分割については、相手方自身、中学校時分から家業を手伝って貢献したので、その分考慮して欲しい、遺産のうち、申立人が居住している不動産は申立人が、京都市中京区○△町の不動産は相手方池田周作が、同区○○町の土地は相手方池田哲也がそれぞれ取得し、貸付信託と金銭信託は、相手方藤井克子と相手方福本智子が折半し、ダイヤは相手方藤井克子が単独取得し、預金は相手方福本智子が取得し、遺産総額を5等分にした平等な遺産分割を希望し、その為、土地を売却することになってもよい旨述べた。

(ニ)  相手方福本智子は、保険会社に外交員として勤務し、家族は、長女麗子(高校3年生)および長男正彦(高校1年生)との3人暮らしである。夫は昭和49年に死亡した。

相手方自身、被相続人亡池田忠和の家業に貢献した事情は無い。

相手方は、本件遺産分割については、協議したがまとまらず、申立人が、会社名義の不動産を売却しているので、その収支や負債の明細を明確にすることを強く希望している。そして、申立人が居住している不動産は申立人が、京都市中京区○△町の不動産(賃貸中)は相手方池田周作が、同区○○町の土地は相手方池田哲也がそれぞれ取得し、資付信託と金銭信託は、相手方藤井克子と相手方福本智子が折半し、ダイヤは相手方藤井克子が単独取得し、預金は相手方福本智子が取得する遺産分割を希望している。

(ホ)  相手方池田哲也は、新聞記者として勤務している。

相手方池田哲也は、○○大学経済学部を卒業した。相手方は、大学在学中、約3か月渡米し、ニューヨークで教会関係の行事に参加したことがあり、その費用一切は被相続人亡池田忠和が送金して負担した。同相手方は、家業を手伝うことも無く、家業に貢献した事実は無い。

相手方は、相続開始後、申立人が○○染工有限会社の不動産を処分しているので、会社の出資、負債等の詳細を明らかにすることを強く希望し、遺産分割については、申立人は、○○染工有限会社の資産を食いつぶし、母である被相続人亡池田タエを家から追い出し虐待しておきながら、現住所の不動産や母の遺産を相続したいと言うのは虫がよすぎるので、遺産の不動産全部を売却し、負債があればこれを差引いて、残りを5等分する遺産分割を希望している。

(7)  当裁判所の定める分割方法

上記に認定した各相続人の生活状況、分割方法に対する希望および代償金の支払については、申立人において遺産である不動産の売却処分も止むなしとしている事実をも考慮したうえ、次の分割方法により遺産分割する。

○○染工有限会社の出資5000口は、申立人および相手方ら5名の相続分5分の1の1000口宛の分割取得とする。被相続人亡池田忠和の相続開始時に於いて、申立人の供述によれば、同会社の資産として不動産があり、負債もあって、会社所有の不動産を処分して負債の弁済に充当したが、現在も尚負債が約金800万円残っており、申立人が引き続きこの負債を弁済する意思を有している事実が認められ、この事実からすれば、会社の資産はむしろ負債のほうが多額と言うべきであり、また、相手方池田周作、相手方福本智子および相手方池田哲也は、会社の資産や負債の詳細を明確にすることを強く希望し、相手方藤井克子も、申立人が会社の不動産を処分したことにつき強い関心を持っているので、この出資5000口は相続人の相続分に応じた分割取得とする。

上記○○染工有限会社の出資5000口を除くその余のみなし遺産の価格は、上記の通り2億5000万1875円であって、これに対する申立人および相手方らの相続分は各5分の1であるから、各人はそれぞれ金5000万0375円を相続することとなる。

別紙遺産目録1記載の(1)、(2)記載の不動産は申立人の単独取得とする。この不動産の価格の合計は金1億9480万9120円(1億8465万1120円+1015万8000円 = 1億9480万9120円)であるので、申立人としては金1億4480万8745円が超過する。従って、申立人に対しては、この超過分を、下記の相手方らの不足分および相手方池田哲也の相続分に充当するため、同1記載の(1)、(2)の不動産取得の代償金として、相手方池田周作に対して金743万4375円、相手方藤井克子に対して金4702万3533円、相手方福本智子に対して金4793万0461円、相手方池田哲也に対して金4242方0375円およびこれらの金員に対する本審判確定の日から完済まで民事法定利率年5分の割合による金員を付加して支払うものとする。

別紙遺産目録2記載の(1)、(2)記載の不動産は、相手方池田周作の単独取得とする同不動産の価格は金4256万6000円(3287万円+969万6000円 = 4256万6000円)であるので、同相手方としては、金743万4375円(5000万0375円-4256万6000円 = 743万4375円)が不足することとなる。

別紙遺産目録2の(3)記載の貸付信託の半分の金197万6842円(四捨五入)および同2の(4)ダイヤ1個金100万円は相手方藤井克子の単独取得とする。この合計は金297万6842円となるので、同相手方としては、金4702万3533円(5000万0375円-297万6842円 = 4702万3533円)が不足することとなる。

別紙遺産目録2記載の(3)の貸付信託の半分の金197万6842円(四捨五入)は福本智子の取得とする。そうすると同相手方としては、金4793万0461円が不足することとなる。

相手方池田哲也は上記特別受益金758万円があるので、これを差し引くと、同人は、金4242万0375円(5000万0375円-758万円 = 4242万0375円)を相続することとなる。

なお、鑑定費用金37万0800円は、申立人がこれを立替えているが、これについては、本件遺産分割の受益の程度を考慮して主文第2項のとおり負担せしめるることとし、その余の手続費用は各自の負担とする。

よって、主文のとおり審判する。

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